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Relight Committee第3回授業レポート

開催日:2017年9月16日(土)10:00~16:00
会場:PUBLICUS(東京・大伝馬町)
撮影:丸尾隆一

授業内容

Relight Committee第3回の授業テーマは「老い・経年」。午前はアイスブレイキングとして「Relight Committeeを説明する」ワークショップを行い、このRelight Committeeという場、そこで起きている現象を自らの言葉で語ることに挑戦しました。

午前:[実験1]Relight Committeeを説明する

午前のワークはメンバーを3チームに分け、それぞれ「子供」「親しい友人」「アート関係者」に対してどのように説明するのかを考え、発表しました。

Relight Project、そしてRelight Committeeの目的とは何なのか、参加する中で自分はどのように感じているのかを話し合い、対象に伝わる言葉で、なおかつ「自分」が主語となる言葉で伝える方法を編みだす過程にメンバーたちは苦戦しました。その結果、自らの体験談としてRelight Committeeを語るチーム、友達に語り掛ける姿を演劇風に演じたチーム等、単なる「発表」にとどまらない多様なアウトプットが生まれました。

発表の語尾に「~です」と「~と思います」という言葉が入り混じるなかで、ファシリテーターの菊池からは「『思います』という語尾は説得力に欠けてしまう。質問に対しどのような返答ができるかもこれからの活動で大切になってくる」とフィードバックがありました。

 

午前:[学習1]自分にとっての「アート」を考える

前半のワークに対し、真摯なフィードバックを戻すことを重視したため、後半の学習パートの時間は短縮し、Relight Projectを運営するNPO法人インビジブルが考える「アートとは」の言葉、そしてこのプロジェクトの核となる「社会彫刻」の概念を提唱したヨーゼフボイスの言葉を紹介し午前のプログラムを終了しました。

午後:[学習2]老い・経年

午後は「老い・経年」をテーマに、老いについて語られた映画や書籍の紹介を通して、身体と時間について考えるレクチャーをおこないました。


当初前半のレクチャーの後は会場周辺を歩きながらのワークショップを予定していましたが、レクチャー終盤メンバーから老いに関する個人的な視点や観念が語られたのを受け、予定を変更して引き続きディスカッションをおこないました。個人の経験を語り合う中で「老い」というテーマが最終的には「どのように生きるのか」というテーマへ終着し、メンバーからは帰路につきながらも老いについて考え続けたとの声もありました。

今回のレポートはRelight Committee2015として活動し、OGとして今回の授業をサポートしてくれた山上祐介が執筆します。
(インビジブルアシスタント・室内直美)

メンバーの変化・Relight Committeeという場の変化

Relight Committee第3回目の授業、私にとっては今年初めての参加となった。今までの授業レポートから今年度の空気は感じており、私自身がRelight Committeeに参加して3年目となるのでもう少しドッシリ構えていいはずだが、なぜか緊張しながら大伝馬町の会場に向かった。

会場に向かう電車の中で、Relight Committee2017のメンバーの顔と名前を一致させようと覚えたが、会場に到着するとまだ3回目にも関わらず皆さん和気あいあいとしていて、まるで私が浦島太郎になった感覚に陥った。それくらい2015や2016の雰囲気と異なるのを感じた。
和気あいあいとはいえ、単に仲の良い友達が集まった空気とは異なる。お互い職業も年齢も異なるメンバーが「ある目的」を共通項にお互いを尊重している、そんな空気がこの場からは感じ取れる。

このとき私は「ある目的」が年度によって異なっていることに今更ながら気がついた。私がRelight Projectに参加した2015年度は、六本木にあるパブリックアート『Counter Void』を再点灯させることが、Relight Committee2015メンバーの最大の目的だった。
当時は「社会彫刻家」という言葉はほとんど表に出ていなかったが、今振り返ってみると5年振りに『Counter Void』を再点灯させたことは、1つの通過点でしかなかったように思う。

Relight Committee2015メンバーが『Counter Void』の再点灯という活動を通して獲得した「自ら考え、自ら決定し、自ら行動する」という実の種が、翌年度のRelight Committee2016メンバーの手に渡った。

Relight Committee2015では『Counter Void』の再点灯に合わせて、昼チームと夜チームに分かれグループで活動をおこなったが、Relight Committee2016はグループではなく各々での活動となった。
個人活動であるが故のプレッシャーがあったはずだが、世間のモノサシではなく自分のモノサシで判断した個性あふれるアクション自体に驚き、そして2015で行なった自分たちのアクションがこのような実を結んだことにも驚かされた。

そして今年度、Relight Committee2017の活動では2015と2016のメンバーがOB・OGとして(中には受講生としても)支援している。

今年度、Relight Committeeの種はどう育ち、そして実を結ぶのか、今から楽しみである。

Relight Committee OB・OGの視点から

授業前半はメンバーが3グループに分かれて、Relight Projectがどのようなプロジェクトかを説明するワークショップだった。
昨年、私は2016のメンバーに混じってこのワークショップに参加したが、今年は説明する側ではなくアート関係者、仲の良い友人、小学生のそれぞれになりきり、皆さんの説明を聞き、質問する側。昨年度は説明することと伝えることの難しさに気づいたが、今年度は質問することの難しさについて気づかされた。
最初に発表したアート関係者に向けて説明するチームは、昨年から引き続き参加している江口恭代さんがいたこともあり彼女の経験を踏まえての説明だった。自身の経験を踏まえた説明なので言葉に説得力がある。

アート関係者に向けての説明という課題であったため、私からは「Relight Projectにおけるアーティスト宮島達男さんの立ち位置はどのようになっているか?」と質問してみた。この質問は、私がRelight Project以外のアートプロジェクト従事者からよく聞かれる質問である。

前半は「xxxです」、後半にしたがって「xxxだと思います」が混ざった回答だったが、「xxxだと思います」という言い方がこの1年間の活動を通すことで「xxxです」と言うようになれるだろうなと感じた。今すぐ言葉に出なくて全く問題ないと思う。
実際、Relight Projectの活動に関して、私自身がRelight Committee2015だけの経験では自分の言葉として説明できなかった。しかし、2015で終わらず2016もOBとして参加し、2016メンバーのActionの相談に乗ったり、時には少し離れたところから観察することでたくさんの気づきを得ることができた。それだけでなく、自らが旗振りとなってRelight Committee2015の記録冊子を制作することで、Relight Projectに対するモヤモヤが自分の中で血肉になっていった。

Relight Committeeの特徴として、毎年バックグラウンドが異なるメンバーが集まっている点が挙げられる。さらにRelight Committeeは年度ごとに目的も違えばカラーも違う。会話をしようとしても、共通言語どころか共通の足場がそれぞれ異なる。そんな共通の足場を持たない者達が、お互いのことを分かり合おうと試みる。
今まで作り上げた過去の足場を自らの手で壊し、現在の状況に合わせた足場を組み立てる。しかもそれはすぐには上手くいかない。なんどもスクラップ&ビルドを繰り返す。相手のことを聞けば聞くほど、自分のことを顧みれば顧みるほど、お互いのことを分かり合おうと始めた試みにも関わらず、相手との違いがさらに見えてくる。もはや会話というレベルではなく対話のレベルで正直しんどい。
私の場合、相手と考えが完全に合致しなくても、それはそれで良いではないかとその状況を受け入れようになったことが、Relight Projectの活動が自分の中で血肉になった部分であると認識している。

一朝一夕で分かるものではないが、午後の授業の後半に白熱した議論が行われた光景を見て来年の3月(あるいはその後になるかもしれないが)、2017のメンバーの中で、Relight Projectがみんなの血肉になる予感がした。

第2回を終えて

今回、Relight Committeeの活動に参加して嬉しかったことがある。それは、昨年Relight Committee2015の仲間たちと制作した記録冊子「Relight Committee Book 2015-2016」が、授業の資料として配布されていたことだ。

午前中のワークショップで、冊子をペラペラめくりながら議論に華を咲かせている光景を見て「この冊子を作ってよかったな」と心から感じた。制作は本当に大変だったけど。

特に何が一番嬉しかったかといえば冊子を作った人(当日は私と室内さん)が目の前にいるのに、誰も私たちに声を掛けてこない事である。
誰が作ったかという点ではなく、何が書かれているかという点にフォーカスして冊子を利用してくれたことは、編集に携わった者として単純に嬉しかった。

冊子は絶対に作らなくてはいけないというものではない。けれども、Relight Committee2015の中から自然にその声が上がり、各方面に協力していただきアウトプットすることが出来た。


この冊子制作に取り掛かった時、Relight Committee2015メンバーに声を掛けたところ17人いるメンバー全員から協力できると回答があった。『Counter Void』の再点灯から半年以上が経過していたにもかかわらずだ。
年末の多忙な時期にもかかわらず快く原稿を書いてくれるメンバーや座談会に参加してくれるメンバーがいて、それらの素材をもとに編集作業をおこなった。何度も修正を重ね、原稿を磨き上げれば磨き上げるほど、私の中でRelight Projectに対する思い入れが言葉になって出てくるようになった。

Relight Committee2015の活動自体は2015年度を区切りに一旦着地しているのだが、冊子が完成したあと私はその冊子を知人や友人たちに冊子を配り歩いている。声やウェブとは異なり、冊子という物理的に手にとれる形で成果物を仲間たちと作れたことで、私の中であの1年の経験で得たことはまだ余熱として続いているのだ。

Relight Committee2016のメンバーが「Action」としてアウトプットをしているように、2017のメンバーたちももいずれは何かしらのアウトプットを行ない、参加年ごとの違いを共有して分かち合えたら素敵だなと考えた。

レポート:山上祐介(Relight Committee 2015)
撮影:丸尾隆一