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Relight Committee 2017 第8回授業レポート

開催日:2018年2月17日(土)
会場:アーツ千代田3331 アーツカウンシル東京ROOM
撮影:丸尾隆一

授業内容

Relight Committee 第8回活動日のテーマは「居心地」。午前中はファシリテーターの菊池と林が、メンバーそれぞれのActionのテーマにあわせてアートの事例を紹介しながら、自らの「居心地」のよい場所から一歩外に出ることこそActionであることをレクチャーしました。

午後はメンバーそれぞれのActionの最終プランを発表。いまだActionのテーマが揺らいでいるメンバーに対し、厳しい指摘が飛び交う場面もありました。

[学習]テーマ:居心地

午前中のレクチャー「居心地」は、菊池からの「あなたの居心地のいい場所・悪い場所はどこですか?」という問いかけから始まります。ワークショップ形式で、白紙のペーパーに居心地がよいと思う場所をイラストにしてみたり、教室の中で居心地の悪い場所を探したり、手や体を動かしたりしながら、それぞれが居心地に関する感覚を見つめました。

その後は、社会学者Senningerが描いた「コンフォートゾーン」の図を用いながら、コンフォートゾーン(安全・安心を感じる場所)の周縁にラーニングゾーン(刺激的・緊張感を感じる場所)が存在し、今、メンバーたちは学びや成長を得るためにコンフォートゾーンから抜け出してラーニングゾーンにいること、ラーニングゾーンに入ってくことこそ、Actionでもあると示しました。

Relight Committeeの「Committee」という名前にも注目し、プロジェクトの持つ目的や人血一人の参加と「コミットメント」(約束・誓約)を求める場所であることを、メンバーたちと確認しました。

そしてメンバーそれぞれのActionのテーマに関連するキーワード「Identity」「ジェンダー」「自己懐疑」「旅」「身体」「コミュニケーション」「3.11」「時代性/世代」「アート」に合わせて、アート作品、プロジェクト、パフォーマンスアートの事例を紹介。メンバーそれぞれに、コンフォートゾーンを抜け出す手がかりを示唆しました。

[実践]Action最終プラン発表

午後はActionの「決定プラン」発表の時間。3月中に実行するActionの内容が固まっているメンバーは、概要や詳細について報告。そうしたメンバーへのファシリテーターからのアドバイスは、「一つ一つに意味を持たせること」。

Actionの概要は決まり、後は実行するのみ、となると内容にばかりに注力してしまい、実行する場所や時間について「自身のスケジュールに合わせたもの」となりがち。しかし、Actionに重要なのは内容とともに「必然性」でもあります。「あなたにとっての必然性」はもとより、「なぜその場所なのか、その時間なのか?」。ファシリテーターの問いかけをもとに、期限を決めて再考することになりました。

2月のレポートは、Relight Committeeの事務局として、またRelight Committee OGとしてこれまでの活動をサポートしてきた、Relight Committee 2015の室内直美が執筆します。

 

メンバーの変化・Relight Committee という場の変化

「ひげをつける」というActionを実行する松本麻美は、実は2月の中頃にファシリテーターに「相談がある」と持ちかけ、Skypeで面談をおこないました。そのなかでは「仕事が忙しくなりそうで3月中のActionは難しい」と消極的な態度を見せました。しかしよくよく話を聞くと「ひげをつけて人前に出ること、奇異の目で見られることに抵抗がある」と打ち明けました。

ファシリテーターからの返答は厳しいものでした。ほんの少しの時間でもできるActionであること、人に見られるのが嫌なら、深夜の誰もいない時間にだってできること、そして「今までも、そうやって計画してきたことを直前で取りやめることがあったのではないか。それはあなたの癖になっているでしょう?」との問いかけに、彼女は静かにうなずきました。

最後に小さな声で「やってみます」と答えた彼女は、本当にActionを実行できるのか。Actionの実行を強制しないというプログラムでありながらも、彼女にとって今までの学びは意味のあるものだったのか、不安の残る面談となりました。

そんな彼女でしたが、なんとこの活動日、宣言通りにひげをつけて会場に現れました。彼女の中で「ひげは自由の象徴である」というActionのコンセプトを今一度見つめ直し、それを自らが実行することの重要性をやっとつかめたのだと感じました。

今後は「自由を感じる場所」へひげをつけて出かけ、それを実行する様子をWEB上で公開していくことを発表。実際にActionをした彼女は、いままでよりもこのActionのコンセプトを強固にできたように感じました。

 

Relight Committee OB・OGの視点から

実行するActionの概要が固まっているメンバーがいる一方、半数のメンバーはいまだ「何をするのか、したいのか」を固めきれていませんでした。「決定プラン」として発表しながらも、どうにも付け焼刃な印象のプランが目立ちます。

基本的にフィードバックの時間ではない、として始めた発表ですが、Actionプランに疑問が残るメンバーにはファシリテーターより厳しいフィードバックが戻されました。

「それは自分が本当にやりたいことか?自分にとって本当に必然性のあるものか?」これまで何度も問いかけてきていましたが、まだ本心を隠しているような「決定プラン」。「本当にやりたいことです」と答えながらも、本心を隠しているのではという様子もうかがえました。

金江理紗は、ファシリテーターの厳しい追及に「これは本当にやりたいことではない」と声を絞り出して答えました。彼女のActionプランは白紙に戻し、彼女が本当にやりたいこと、「自分に自信を持ちたい」が叶うようなActionプランとなるよう考え直すことになりました。

今年のメンバーは、それぞれに人生経験を積んだメンバーであるからこそ、弱みを見せるのを人一倍嫌っているような印象を受けます。それが「中途半端なものを外に出したくない」という思いにつながり、付け焼刃のプランを出してきたように感じました。

しかし、弱みや未完成の部分を見せていいというのはRelight Committeeという学びの場の前提です。2016年度のメンバーにも、同じように「本当にやりたいことではない」Actionをしようとするメンバーがいました。でも、本人がそれを認めることは最後までできませんでした。「生と死」「あなたにとっての必然性」を問いかけられ、それに真摯に答えなければならないRelight Committeeという場で、自分の本心をつつみ隠さず「裸になれる」かどうか。

弱みを見せることのできた彼女の勇気を応援する一方、弱みを隠すメンバーは本当にActionを実行できるのか、不安が残ります。

第8回を終えて

昨年度のメンバーに比べ、今年はActionの決定、実行の進捗に大きな遅れが見られました。

これまでヌードデッサンに始まり、インストラクションを与えられた街歩きなどの刺激的な「実験」や、様々なアート作品・社会的なアートパフォーマンスの事例に触れた「学習」の時間を経験してきたメンバーだからこそ、もっとすごいもの・もっとインパクトのあるActionを作りたい、と強欲になってしまったのかもしれません。

しかし、Relight Committeeのプログラムもあと1ヵ月と少ししかありません。本人が中途半端と感じるものであっても、Actionを実行すること以上に大切なことはありません。

Actionの実行へと確実に歩みを進めるメンバーを応援する気持ちとともに、「Relight Committeeの学びを経ても、本当のActionができなかった」という失敗体験を残さないように、すべてのメンバーに対して私たちができることは何なのか。

実行できない理由よりも今できることを見つけましょうとメンバーに伝え、背中を押す日々が続いています。Actionはあくまでも彼らが今後「社会彫刻家」として生きていくための通過点であり、学びのゴール、集大成ではありません。

多くのメンバーがどんな形であれActionを実行できるよう、最後までサポートしていきたいと思います。

レポート:室内直美(リライトプロジェクト事務局・Relight Committee 2015)
撮影:丸尾隆一