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わたしと向き合う時間

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荒川真由子

舞台芸術のフェスティバルで作品を企画し、アーティストとともに創作、上演、運営をする「制作」という仕事をしています。これまでも商業演劇の制作助手や劇場で施設管理の仕事をして舞台に関わる仕事を続けてきました。
昨年まで3年に渡り、プロジェクトFUKUSHIMA!と池袋でフェスティバルをいっしょに作り上げたことで多くの人と出会い、改めて表現する、ということがアーティストだけのものではないこと、自分だけでは思いつかない偶然の積み重ねが自分にとって心に響く瞬間を生み出すことを実感。
今後も場所やジャンルにとらわれず、さまざまな人たちと創作をしていくことを考えつつ、自分の「軸」となる考えをもう少し掘り下げようと今回参加しています。

開催日:未定

昔も今も言われ続けているのは、「どうしてそんなに自信がないんだ」ということ。
自己肯定感の低い人にとって、
自分がやりたい!と感じたことをやり抜くことはなかなか難しい。
勢いでえいやっとはじめられても常に不安が付きまとう。

大学卒業とともに演劇の現場に飛び込み、
すこし特殊な社会の中で自分の居場所をなんとか確保しようと走り続け、
いまわたしが取り組んでいるのは、作品を世に送り出していく仕事。

自分たちが対峙している現実にある多くの疑問や憤り、興味のありかを探って
アーティストとともに演劇などの表現を通して作品を世に送り出す。
ありかを探るのに自分たちの知恵だけでは、、、と思えば、
これをきっかけにしてさまざまな分野のひととも出会う選択もできる。
好奇心に向かって様々な人と一緒に思考することができる、
こんな素敵なことはないと思う。

ただ、いつもわたしがぶち当たるのは「自信のないわたし」なのだ。
作品は馴れ合いでは作れない、と思っている。
勢いは違えど、意見をぶつけあわせることもある。
こんな時はかなりの勇気を振り絞るのでエネルギーの消費量ははんぱない。
どうしても、言えない、伝えられない、そんなときに登場するのが自信のないわたし。

今回RelightCommitteeに参加したのは、
この自信のないわたし、に向き合うことに時間をかけて、
自分の「軸」をしっかり掴むことが目的だった。


平凡

企画を考えるときに、いつも大事にしているのは、
自分は平凡である、という意識。

類い稀な才能をもち、千里眼でピカリと光る才能を見つけ、
世の中をあっと言わせる作品を作っていく人もいるだろうが、
平凡だからこそ多くの人と共有できるものが作れるのではないかという期待がある。
自信がない割にこの仕事を続けていられるのは、この期待があるからだ。


迷いの森へ迷い込む

いざActionを考えようとなって、このわずかな期待をもとに
一瞬で終わるような高揚感ではなく、
日常に穏やかに作用してプラスな感情を持続的に作り出す、
そんな何かを作っていけないかと悩み始め、迷いの森へと迷い込んでいくのだった。

持病によって観劇へのハードルが上がったこと、
他人と向き合うことや考えを表現することになかなか慣れない悩みなど
自分のマイナス感情を起点にしたActionのアイデアをもとに、
RelightCommittee事務局の菊池さんと、林さんとはじめての面談。

ふたりとの会話で自分のActionがまるで「後悔」のかたまりだということに気が付いた。
過去を振り返って、その後悔を払拭するような、後ろ向きなもの。

未来に向けて作用すること
視点をずらしてユーモアを

今度はこれを加えてもう少し考えてみよう、
さらに悶々として、ぽっと出てきたのは「おまじない」だった。

これは自分が料理教室に行った時の体験がもとにある。
わたしの通っていたそれは、10名程度のグループで
半年のうち月1で大皿料理を何品か作っていくもので、
素材と向き合って、それぞれの特徴をよく理解しながら、進めていくものだった。
ワイワイと料理をいっしょに作っていく雰囲気は楽しく、そしておいしく、
レシピを持ち帰れば、その時の記憶を思い出してとても穏やかな気持ちになることができた。

おまじないは自分の成功体験やよかった、と感じた瞬間を再び起こすために、
その時行ったことを再現するものという考え方がある。

プラスな感情を日常に繰り返し起こす仕組みとして、おまじないは最適ではないか。
わたしが料理教室に行ったときを思い起こして穏やかになるのであれば、
他の人たちもそれぞれ自分オリジナルのおまじないを持つことは可能なのではないか。

この考えをRelightCommitteeメンバーのみんなに共有したときに
おまじないという言葉に反応する人は多かった。
ただ、いっぽうで楽しい記憶よりも、
自分にかかっていた呪いや呪縛など(兄弟や親との関係などのことで本気のやつではない)
マイナスな話をする人が多いことが気にかかっていた。

また、ここからが迷いの森から抜け出せなくなって、
おまじないの定義を考え始めたり、フォーマットに囚われてしまった。
こういうときは、だいたい根幹の大事なことを失っている時だ。


迷いの森から抜け出す!

RelightCommitteeは数か月をかけて、
レクチャーやゲストとのトーク、参加者との対話など
様々な方面から自分の凝り固まった頭に刺激を与えてくれる。

この刺激を持って自分が社会と認識するものに対して何ができるか、考えていく。
これはあくまでActionであって、企画ではない。
すぐに不安になって他人にとってどうかを考えてしまうが、
まずは自分にとってどうか考えることが私には必要だと思った。

あえて無理に他者と向き合うことをやめてみる
まず自分と向き合って、自分に自信をもってみる
こうやってようやく他者と向き合ってみる

迷いの森からそろそろ抜け出せるような気がしてきた。


自分を呪いから解放する

おまじないについて、まだどうしたらいいかわからずに悩んでいた時に、
ほかのRelightCommitteeのメンバーから、まずは荒川さんの呪いをとくことが最優先、という言葉をもらった。
(ちなみにおまじないは漢字ではお呪いと書く)

自信を持つ、つまり自分を信じることを見直してみようと思った。
何か功績や評価を得ることとは違って、
誰かのためでもなく、立場や役割を抜きにして、
純粋に自分のために、自分の価値を見直す作業。

これがわたしの呪いをとくことなのではないか。

まだ迷いの森を抜け出せていないのかもしれないが、
せめて道のあるところへはすこしずつ、近づいてきたように思う。