Counter Void とは

Counter Void -光の壁-

この作品は、ネオンで3m20cmの数字を6個ならべた作品。
数字は9-1とカウントダウンし、0は表示されない。
そして、それが繰り返される。カウントダウンする数字のスピードはすべて違っている。
表示は、背景にもネオンを仕込み昼と夜で変える。 昼は白い壁にネオンの白い光で数字を表現し、夜は情景を反転させ、壁が白い光の地となり、数字が黒く表示されるように設計されている。
過剰な「生」が渦巻く都市、東京。六本木はその中心。
過剰な「情報」が渦巻くメデイア、日本。テレビ局はその中心。

昼の情景
新しい六本木ヒルズは、夜だけでなく昼間の顔を持つようになる。
もともと過剰な「生」が息づく六本木に、更に加速度をつけた「過剰な生」を上塗りする。
過剰な情報発信基地であるテレビ局に、更に加速度をつけた「過剰な光」を上塗りすること。
それは、「生」と「光」のホワイトホールと化し、「より深い死」を想うキッカケを提供するだろう。

夜の情景。
六本木は、もともと夜の街。
過剰な「生」は夜にこそ花開く。
その夜に、あえて、「死」を持ち込むこと。
また、情報発信基地に「闇」を持ち込むこと。
それは、「死」と「闇」のブラック・ホールを生み出し、「より深い生」を考えるキッカケを提供するだろう。

昼と夜。情景のダイナミズム。
交互に繰り広げられる「死」と「生」の豊潤なドラマ。
それは変化しつづけながら、通りすがりに見る人々によって、その人々が感じ、考えることによってのみ完成し続けられるだろう。

2002年4月
宮島達男

宮島達男『Counter Void』2003年 / テレビ朝日所蔵作品